2018年12月10日更新.3,339記事.5,761,897文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。
脂質異常症

脂質異常症は、血液中の脂質(血清脂質)、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪(トリグリセライド)が、正常範囲を超えて増加していたり、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低下している状態をいいます。
この状態が長く続くと、血管にコレステロールがたまり、動脈が狭く、もろくなり動脈硬化症に陥ってしまいます。

従来は高脂血症と呼ばれていましたが、LDLコレステロールは低く、HDLコレステロールは高いほうが望ましいのに、HDLコレステロールが低い状態を「高脂血症」に含めると紛らわしくなるため、脂質異常症と呼ばれるようになりました。
コレステロールや中性脂肪は身体になくてはならない栄養素で、細胞膜やホルモン、胆汁酸などの材料になったり、エネルギーの貯蔵庫になるなど身体機能を保つために大切な役割を果たしています。

脂質は水に不溶性であるため、血液中では表面に蛋白質(アポ蛋白)が存在するリポ蛋白という状態で運搬されます。
このリポ蛋白の代謝障害が起こることにより、高LDLコレステロール(LDL-C)血症や高トリグリセライド(TG)血症、低HDLコレステロール(HDL-C)血症などが発症します。脂質異常症は、動脈硬化の主要な危険因子であり、動脈硬化性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など)の発症予防・進展抑制のためには、血清脂質を管理することが必要です。

LDLコレステロールは体内にコレステロールを運び、血管壁にコレステロールを蓄積させて動脈硬化を引き起こし、反対にHDLコレステロールは体内や血管にたまった余分なコレステロールを肝臓に戻し、動脈硬化を抑える働きがあります。そこでLDLコレステロールは悪玉とよばれ、HDLコレステロールは善玉とよばれています。

脂質に異常が生じるだけでは、ほとんど自覚症状がないため、放っておくことが少なくありません。すると、脂質が血管壁にたまって、血管を狭め、動脈が硬く、もろくなっていき、やがて心筋梗塞や、狭心症、脳卒中などを引き起こします。したがって、血液中の脂質の量を適正な値に調節することが動脈硬化の予防に重要です。

脂質異常症の原因としては遺伝子の異常などもありますが、多くは食べ過ぎや、脂肪分の多い食事、それに伴う肥満、そして運動不足などの生活習慣に影響されると考えられています。
また、遺伝子の異常とは別に、家族に脂質異常症の人がいるなど、脂質異常症になりやすい体質のひともいます。

一方、二次性脂質異常症といって、他の病気や薬が原因となり起こるものもあります。この場合は原因となっている病気を治療したり、可能なら薬を変更したり中止することで改善することができます。