カルバペネム系薬
カルバペネム系薬はブドウ球菌、肺炎球菌などのグラム陽性菌、大腸菌・肺炎桿菌・緑膿菌などのグラム陰性菌、バクテロイデスなどの嫌気性菌に対して有効であることが特徴である。
近年問題となっているESBL(Extended Spectrum β-lactamase:基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)には安定であるが、メタロβラクタマーゼにより失活することに注意しなければならない。
超広範囲スペクトルの薬剤であり、抗菌力もきわ立って強い。
治療の切り札の一つである。
グラム陽性菌〔MRSA、MRCNS(メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)を除く)〕、幅広いグラム陰性菌、嫌気性菌に有効である。
緑膿菌にも効果がある。
一方、同じブドウ糖非発酵菌であってもマルトフィリア菌には自然耐性である。
髄液への移行は良好で、髄膜炎等中枢神経系感染症に用いることができる。
以下の場合には、原則として用いてはならない。①たいていの市中感染症、②手術部位感染の予防、③重症の緑膿菌感染症(特に肺炎)での単剤使用、④緑膿菌以外のPseudomonas感染症、⑤重症の腸球菌感染症での単剤使用
適正な感染症診療を行うならば、使用頻度は少ないはずの薬剤である。
何らかの使用制限のシステムを設けるのが望ましい薬剤である。